講座について

講座について

「現在、里親支援に従事している方」「現在、対人援助職に従事しており、近い未来に里親支援に従事する予定がある方」を対象とした、子どもを養育する里親を支援するパイオニアを育てる、日本初のフォスタリング・ソーシャルワーク専門職講座です。
経験豊かな講師陣と外部講師陣、またオンデマンド学習に加えて、様々な「当事者」をゲストスピーカーとしてお招きします。具体的には、以下のような方々を予定しています。

  • 実際に里親として活躍しておられる方
  • 里親家庭・養子縁組家庭で子どもとして暮らしたことのある方、またはそこで生まれた実子の方
  • 各種の依存症や治療を経験した方

など普段なかなか聞くことができない、経験に基づく生きたストーリーから、日々の実践を振り返る貴重な機会を得ることができます。

家族理解力を高めます

フォスタリング・ソーシャルワーク専門職講座では家族理解力を高めていきます。家族理解は家族療法の理論や家族システム論をもとにしたファミリーグループダイナミクスをみる力と考えています。これを毎回の講座に組み込んで知識として理解していきます。 家族が複数存在するのが里親里子関係の家族です。生まれた家族、社会的養護での育ち、そして里親家族、さらに18歳以降に自らが構成していく家族と幾重にも家族体験をするのが里子です。里親が複数になる場合もあります。こうした特色ある子どもの育ちに寄り添うフォスタリング・ソーシャルワークに必要な家族理解の基本はジェノグラムワークをとおして身につけます。毎回グループワークを組み込んでいるのでそこで実際に応用しながら学びます。さらにフォスタリング・ソーシャルワークに熟練していく過程では、里親家族が暮らすエコマップの理解も必要です。保育園や幼稚園、学校、児童相談所等がコミュニティとなっています。これらをまとめて「家族をシステムとしてエコロジカルにみること」として位置づけています。この講座の背景にある家族理解の理論です。

家族の相互作用を見つめます

家族システムは生きています。家族の相互作用の仕方を見極める力がソーシャルワーカーには必要です。愛されたい欲望による操作性やアタッチメントに課題のある相互作用が起こります。養育者の救済者願望やケア役割を刺激する巻き込みの相互作用、何らかのトラウマ的な絆の形成や依存的な関係を求める相互作用もあります。実に多様な家族問題が社会的養育では起こります。こうした中を生きる里子の力は複数の家族を生きていくなかで身につける物語る力といえます。具体的にはライフストーリーワークとして、真実告知も含めてどのように里親と里子が自らの人生の物語を描けるのか、それを支援するソーシャルワークの理念と手法について学びます。

社会が人を育てる力を育む専門職のための講座です

家族という関係は相互依存の体系であり、愛情という感情作用によって保持されつづける関係です。相互依存は立場の強い者と弱い者の関係を含みます。もちろん強い者であっても弱い者が存在してはじめて成り立つ関係だから自立と依存の関係は複雑です。子どもは確かに弱い存在ですが、大人を親にする力をもっています。弱いけど強いのです。そうした関係性の機微は家族だからこその強みとなります。多様に張り巡らされた相互依存の網の目が家族システムを強化したり、弱めたりします。里子は社会のもつ養育力を強化してくれる存在です。社会が人を育てる力を高めていく大きな課題のひとつです。そうした里親里子関係を見守る高度な専門職の実践に正解はありません。暗黙の知、実践の知といえるでしょう。しかし、基礎として身につけるべき力量は体系的に存在します。これをまとめて臨床の知、省察の知として組成しました。 講座では基礎的な家族理解力を身につけていきます。そして毎回のグループワークと修了後のフォローアップ研修をとおして里親家族というグループダイナミクスに関わるソーシャルワークの実践力を磨いていきます。

学びが身につく、すぐ活かせる

本講座は、インタラクティブな学習ができるグループワークと第一線で活躍する講師陣による講義の2部制。講座では、オーストラリアの里親支援機関キーアセットのCEOを務めたRob Ryan氏より、フォスタリング・ソーシャルワークの基礎を学べます! 希望者はオーストラリア(予定)への視察旅行も可能(自己負担)。国内外の先進的な理念や実践を学んで、これからの里親支援を共に切り開いていきましょう!

「育ての親という生き方」をささえる、
里親支援のスペシャリストに。

2016年6月の児童福祉法の改正、2017年8月の「新しい社会的養育ビジョン」など、社会的養護の子どもの家庭養育を促進するという目標が掲げられました。この政策を実効性あるものにするためには、地域における条件づくりこそが大切です。

本講座は、対人援助分野で教育・研究実績のある立命館大学(人間科学研究所社会的養育プロジェクト)が日本財団の助成を受け、社会福祉、家族療法、心理臨床、社会病理などを統合した関連領域の知識と国内外の先進的な理念や実践を学び、人間理解力を身につけた思慮深く行動力のあるフォスタリングソーシャルワーカーを養成します。 昨年度は多数の応募をいただき20名の1期生を迎えて講座を行いました。インタラクティブな学びの場に最初は戸惑う受講生も多かったものの、実践経験を活かし、それぞれの現場の状況を共有しながら学びを深めることができました。

また、2月のオーストラリアへのスタディツアー(5日間)には約半数の受講者が参加し、長年フォスタリングソーシャルワークを実践している現地で多くの学びを得ました。

立命館大学フォスタリング・ソーシャルワーク専門職講座では、今年も受講者を募集します。今後の社会でより重要性を増す「子ども中心のフォスタリング・ソーシャルワーク」の先駆者・実践者になる人、特に各機関または地域のリーダーとして里親支援を向上させることできるやる気のある人材を広く募ります。

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